今回は我々人間からも馴染み深い「鳥」にフォーカスを当てた記事です。
人間からも近い距離にありながら、知らないこともたくさんあるのが動物の世界です。
その中でも「鳥」の生態や知識を養うことで、新たな視点や感性が生まれるでしょう。
鳥の世界全体に体すれば、一部の記事にはなりますが、きっと気づくところもあるでしょう。
是非、この記事において多くの知識や考えを吸収してくださいね。
Contents
「鳥」は何処へ向かって飛んでいるのか。
「あっ、小鳥!・・・可愛い」という経験があるでしょう。
でもその鳥の名前を言える人はそう多くありません。
カラスと、スズメやハトは知っています。
他の鳥がポンと出てくる人はそう多くはいませんね。
日本にはおよそ650種類の野鳥が観察されています。
世界にすると1万種類。
そして、昆虫の数十万種類は桁違いですね。
身近な存在なのに、実は鳥のことをほとんど知らないというのがホントのところでしょうか。
「梅に鶯」は似合わない?
「梅に鶯(うぐいす)」という言葉があります。
「梅の花が咲き誇る頃はウグイスは居ないよ」、「梅の花の蜜を吸っているのはメジロなんだ」とおっしゃる。
確かにメジロが多いですね。
しかし、それは生態的な話です。
「梅に鶯」というコトバは、梅にウグイスが来ると言う意味ではありません。
梅は春の到来を告げ、ウグイスには「春告げ鳥」の異名があり、2つを取り合わせることで「花鳥風月」を感じる「比喩」となるのでしょう。
また、「鶯餅」のあの色を鶯色という人がいますが、ウグイスもメジロも、あんなに鮮やかな緑色ではありません。
野鳥図鑑的には「安黄緑色」と表現してあり、その色は茶色っぽい緑です。
日本人の自然観「花鳥風月」
季節の折々に、必ず見かける鳥がいますね。
「春になったなぁ」と感じる鳥たちです。
桜が咲いて春を感じ、紫陽花を観て梅雨時を思い起こすように・・・
鳥は木や花と違い、居所を定めないので、あまり感じないけど鳥こそ季節を感じさせる生き物です。
だから「花鳥風月」というコトバの中に入っています。
日本人が自然とどう向き合ってきたかを端的に表しています。
鳥の不思議・・・WATARIDORI
「渡り鳥」は、不思議なこと、解明されていないことで一杯です。
生物の中で一番研究が遅れている分野と言っても良いでしょう。
~夏鳥・冬鳥・旅鳥~
渡り鳥は、大きく分けて、「夏鳥」「冬鳥」「旅鳥」に分類されます。
~繁殖のために日本へやってくる夏鳥~
夏鳥は、ゴールデンウィーク前後に集中して、南の国から繁殖のために日本へくる鳥です。
初夏に鳥たちがさえずるのは、気持ちが良いからではありません。
「求愛行動」でさえずっているのです。
オスが必死に雌の気持ちを引き寄せている訳ですね。
5月上旬からしばらくは、雑木林や山の森林に入ると、野鳥たちの囀りのシャワーを感じることが出来ます。
夏鳥は、秋が近づき、雛が成長して飛べるようになると、また、南の国へ帰って行きます。
子供連れでの過酷な旅です。
全部が全部帰れる旅ではありません。
~寒さを避けてくる冬鳥~
一方、冬鳥は寒さを避けるために北方からやってきて、暖かくなる春にまた北の大地へ帰って行きます。
鶴などはその代表格で、鹿児島県の出水市は、6種類もの鶴が1万羽も越冬します。
春に北へ帰って行く姿をみて、日本人は「北帰行」という哀愁に満ちたコトバを考え出しました。
~過酷な宿命 WATARIDORI〜
夏鳥も冬鳥も、台風や低気圧の影響を受け、途中島伝いに渡りを続けていきますが、途中で力尽きたり、ワシやタカなどの猛禽類(もうきんるい)の餌食になったり、密猟で殺されることもあります。
猛禽類たちは昼間渡りますが、小鳥は夜、自由の効かないの闇の中を飛び続けます。
海に浮かぶことの出来る鳥たちはまだしも、島と島の間は飛び続けなければなりません。
宿命とはいえ、信じられないような過酷な旅路です。
渡りの途中で日本を通過して、北や南へ行く鳥たちを「旅鳥」と呼びます。
春と秋の2回、日本に立ち寄るわけです。
旅鳥の多くは長くて一週間、短いときには数時間ということも・・・。
渡り鳥とは別の、一年中日本に居る野鳥を「留鳥」(りゅうちょう)と呼びます。
さらに、本来ヨーロッパや北アメリカなどに棲息する鳥が迷ってくる「迷鳥」(めいちょう)もあります。
~太陽や星座の動きを知っている鳥たち~
鳥は、昼間は太陽の動きで自分の位置を知り、夜間は星座などを頼りに飛ぶと言われます。
そのコンパスが壊れると、光と島を探しながら夜通し飛び続けるという苦しい飛行になります。
迷鳥は、灯台などに激突して、死骸となって発見されることもあります。
自然は容赦しません。
鳥の渡りは、さらに研究されていくでしょうが、不思議一杯です。
鶴はヒマラヤ山脈を越えて渡りをします。
キョクアジサシは、一回の渡りでオーストラリアの南からシベリアを経由して、北欧まで飛びます。その距離32000kmという研究データもあります。
アホウドリの仲間は一度も地上にも海も降りずに、数千キロも飛ぶことが出来ます。
コンドルの仲間は、数百キロも離れた所でも餌の匂いを関知するそうです。
鳥と人間・・・辛い関係と癒しの関係
古代の人は鳥をみて、「何処へ往くのだろう?」と考えたに違い在りません。
鳥は「こちら」と「あちら」を繋ぐ生き物と考えられました。
神社の「鳥居」は何故「鳥居」と呼ぶのか?
はっきりしませんが、古代の人は「こちら」から「あちら」へ入るための、入口と考えたかも知れません。
~ジビエ、フォアグラなどの欧州のグルメ文化~
アジアでは、鳥のさえずりを競う習慣があります。
ヨーロッパにはジビエ料理と称した、グルメを熱狂させる料理世界もあります。
密猟が多く渡りの途中を狙って、鳥たちが殺されます。
また、ガチョウやアヒルの肝臓を極端に肥大させて、食通をうならせるフォアグラもあります。
ガバージュ(強制給餌)といって、生産国では問題になっています。
~癒しの生物 ペットとしての鳥~
鳥はペットとしても大切にされます。人の心を癒すからでしょう。
最近では、フクロウを見せるCaféが大流行です。
日本では野鳥を飼うことは、法律で禁止されています。
ペットショップの鳥は、アジアの密林が主な故郷です。
飼い主が大切に扱ってくれれば良いのですが、要らなくなって逃がしたり、また逃げてしまったりします。
これらは「籠抜け」と呼ばれますが、日本の環境に適応して、生き延びる鳥たちもいます。
最近では、都心の河川敷に、インコの群れが住み着いたりしています。
しかし、ほとんどの籠抜けの鳥たちは、行き倒れになるか猫の餌食になってしまうのがオチです。
古代人は鳥をみて飛ぶことを夢見ていた
古代の人が鳥を見て、「どうしたら空を飛べるのだろう」・・・
そう考えないはずがありません。
長い間そう思っていた人間達は、その憧れを鳥に抱き、鳥を崇め、そして自らが空を飛ぶという、飛行機の発明に与したことは間違いないでしょう。
~3本足のカラス・・・日本サッカー協会のエンブレム~
ところで、日本サッカー協会(JFA)の、公式エンブレムには3本足のカラスが描かれています。普段人に嫌われるカラスの絵が堂々と描かれています。
3本足のカラスは、古代中国から伝来してきた「イコン」です。
太陽の化身としての、神だということなのです。
熊野神社や山王日吉神社のイコンにもなっています。
厳島神社、伊勢神宮の神社縁起にも現れる鳥です。
~黒いカラスばかりではない!〜
人に嫌われるカラスの名誉のために少し書いておきます。
日本にはカラスの仲間が、10種類以上記録されています。
私たちと仲の悪いカラスは、ハシブトガラスとハシボソガラスです。
そして日本には、色彩豊かなカラスもいます。
世界で、奄美大島付近にしかいない、ルリカケスなどは息を飲むほど美しいカラスです。
山の中に住むカケス、都市部に定住するオナガ、カササギもカラスの仲間とは思えない美しさです。
鳥・・・季節の先導者
人にとっての「鳥」を考えて見ましたが、いかがでしたか。
鳥は長い間、人間にとって「何処へ行くのだろう?」という見知らぬ場所への、強い憧れでもありました。
2月の後半から、冬鳥達は少しずつ北に向けて帰っていきます。
そして、桜が咲き終わる頃には、もう南から夏鳥がやってきます。
これを機会に、鳥を改めて観るというのはいかがでしょうか。(destael2016)
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